飯田隆史のブログ No.921 欲深婆さんとカルダイ尊者

【仏教講師・飯田隆史の後悔しない今を生きる】

こんばんは

飯田隆史です。

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No.921 欲深婆さんとカルダイ尊者
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昔、インドに、

出すのは舌を出すのも嫌!

というほど、施しをしようとしない、

欲の深いお婆さんがいました。


お釈迦様のお弟子であった迦留陀夷(カルダイ)尊者は

何とか、このお婆さんを済度(さいど)しようと思われ

機会をうかがっていました。


そんなある日、お婆さんが

隣からもらったモチを焼き始めたのです。


他人に見られると、やらねばならないので、

厳重に戸締りをして食べようとしているところへ、

カルダイ尊者が縁の下からヌーとのぞきこみました。


お婆さん驚いてわめき散らしますが、

カルダイ尊者はモチを見つめて動こうとしません。。


そこで婆さん、

「この坊主、どれだけモチをにらんで目玉が飛び出そうと、このモチはやらんぞ!」

と邪険に叫んだのです。


カルダイ尊者はますます不憫(ふびん)に思って

ぜひとも済度せねばと、両方の目玉を飛び出させました。


「この坊主、なんと執念深い奴じゃろ。

こうなってはさかさまになって100ぺん回っても、

このモチはやらんぞ」

お婆さんも必死です。

するとカルダイ尊者、さかさまになって100ぺん回られました。


「この坊主、しつこい奴だ。もうこうなったら死んでもやらんぞ」

と言うや、カルダイ尊者、コロリと死んでしまったのです。。


サァ、婆さん驚いて、

「こんなところで死なれては、私が殺したことになり困ります。

モチ一片あげますから、どうか生き返ってくだされ」

と泣き出しました。


するとカルダイ尊者はすぐに生き返り

モチ一片を鉄鉢の中にもらうと、

あとのモチが、みなゾロゾロ続いて鉄鉢の中に入ってしまいました。


カルダイ尊者が王舎城へ帰ると欲深婆さん、


「やらぬモチまで持っていってしまった。返せ返せ!」


と、怒鳴って追いかけてきたところへ、お釈迦さまが現れたのです。


「婆よ、カルダイ尊者は皇后の帰依を得ているので何一つ不自由はない。

あなたのモチ一片がほしいのではなく、お前の欲深を済度しようとしたのだ」


それを聞いたお婆さん、自身のあさましい姿を知らされて平身低頭しました。


「これ、婆さんよ、このモチを大衆に供養(くよう)してもよろしいか」


「結構でございますが、こんな小さなモチが、どうして大衆に供養できますか」


「心配いらぬ。見ていなさい」


鉄鉢の中から次から次へとモチが出て、

最後の一つを近くの大河に投げ込むや、

不思議にも水から青い火炎が立ちました。


「婆さんよ、お前の執念がまだ残っている。

あの通りモチが火になったぞ」

とお釈迦様が仰言ると、お婆さん、驚き入って平服しました。。



こんな話が伝えられていますが、

人間の欲深さと、布施(ふせ)の難しさを知らされます。。

モチ一つ施すのも惜しくなるのは、このお婆さんだけではありません。


お年寄りに席をゆずることさえ、席が惜しくてゆずらない。

苦手な人でも、挨拶くらいすればいいのに

知らぬふりして無視をする。挨拶さえも出し惜しむ。

仕事で疲れて帰ってきた主人に、労をねぎらう一言も出し惜しむ。

家事育児に頑張っている妻に「ありがとう」の一言もかけない主人。

そんな優しい言葉、いわたりの言葉をかけることさえ

出し惜しみするのが私です。

欲深なのはこのお婆さんだけではありません。

布施(ふせ)とは、現代の言葉で「親切」のことです。

「親」を「切る」ほど辛い、ということですね。

でも、難しいことだからこそ、

布施はまた、すばらしい善行だと教えられます。

つとめて実践したいものです。



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